体育会系商社マンの米国株投資

経済的自立を達成し、会社に帰属せずとも自分らしい自由な人生を目指しています。

株価を追うのはやめました。私の新しい投資スタイル

前回は2025年の投資方針について語りました。また、その方針を実践する上でのポイントとして「自分への約束事②をやり切れるか(以下)」が最重要、と述べました。本日は、その点について詳しくお伝えします。

2025年の投資における基本的な自分への約束事。
毎月コンスタントに買付をするが、積立設定をしておき、タイミング投資をしない。言い換えると、スポット買付や指値での買付をしない。
1か月以内の株価の変動は誤差の範囲と考え、そこで安く買う事に脳のリソースを使わないようにする。むしろ、長期で保有し続ける事にリソースや労力を注ぐ。

結論:タイミング投資の反省点3つ

以下長文となるので、先に結論を述べておきます。タイミング投資を3年間やってみた反省点です。
買い場を逃す:安値を狙うが、欲望や恐怖で判断がブレる。
資金を十分投入できない:安値を狙うあまり、余力を温存し過ぎる。
リソースの浪費:価格やチャートを過剰にウォッチして時間を消耗。
タイミング投資を実践した結果、総合的なパフォーマンスは、時間や労力を消費しない「毎月積立投資」に劣後しました。今年は株価を追うのはやめ、保有する5銘柄を淡々と「毎月積立投資」する方針です。

ではここから本文です。

なぜ買付を手動でせずに、自動化(仕組み化)することが重要なのか?

その理由は過去の私の投資経験の反省を踏まえたものになります。即ち、タイミング投資の難しさを痛感したため、今年はタイミングを狙わず、機械的に買っていくスタイルを貫くために、それを仕組み化することにしました。

ここ数年の自分にとっての最大の敵は、「少しでも安く買いたい」という欲です。勿論、株の買値はその投資の成否を分ける大事な要素です。安く買えればそれだけ将来の利益を大きくすることができ、また損失のリスクを抑えることができます。私が長期保有する米国個別株はボラが高いので(特にエヌビディア、テスラ)、これまでは「長期では株価は上がる前提の下、安く売り込まれている時に多めに資金を投入し、高い時は静観する」という狙いの元、株価・チャートや市況(VIX指数など)をウォッチしながら、いわゆる「タイミング投資」をしてきました。「うねり取り投資」と言われることもありますね。

ただ、これは「言うは易く行うは難し」。相当に難易度が高い事を痛感しました。とりわけ2022年以降のこの3年間は、買付する個別株を5銘柄(※)に絞り、この「タイミング投資」を実践してきましたが、結論から言うと上手くいきませんでした。
※MANTA=マイクロソフト、アップル、エヌビディア、テスラ、アマゾンの5銘柄

タイミング投資を3年間やってみて、結果は?

この5銘柄限定であれば長年株価をウォッチしてきたので株価動向のクセも知っており、「安い時に勇気をもって獅子の如く買い、高い時には山の如く静観できる」という自信がありました。しかし、この3年間の買付を検証した結果、毎月1日など、決められた日に淡々と買付する積立投資の方が、総合的なパフォーマンスは優れていました。

理由は簡単です。自分なりの基準値、例えば「テスラは140ドルを下回ったら買う」と指標を決めていても、いざ株価が下がると「もっと下がるかも」と欲(場合によっては恐怖)が出るのです。反対に上がり始めると「指標の140ドルまで下がるのを待とう」とこれまた欲が出て、買い時を逃すのです。人間の性ですね。

この繰り返しで、投入しているリソース・時間の割に、結局パフォーマンスは積立投資に劣後することになりました。また目に見えないところで、精神的コストもかかっています。

では実際に私の買付はどんなものだったのか?2銘柄で検証してみたいと思います。

テスラ:自分の買付価格191ドル vs 積立218ドル

上図の赤丸で囲っているのが、2023年~2024年の直近2年間で私が買付したものです。赤丸の中の数字は株数です。その加重平均の買付価格は191ドルでした。

一方で、毎月初のOpen価格で機械的に買付をした場合はどうなるのでしょうか?同じく2023年~2024年の2年間(24か月)の平均値を取ると、218ドルとなりました。

若干、私のタイミング投資の方が安く買えているけど?

確かに私の買付額の方が10%程度、安く仕込めています。現在のテスラの株価は400ドル以上なので、約2倍となっており、パフォーマンスは悪くないように見えます。

では何が問題だったか?

私の最大の問題点は、「余力を残したために十分な資金を投入できなかった点」にあります。

この2年間で、私はテスラに5,000ドル(約75万円)しか投資出来ていません。総資産額から見ると1%程度です。これが2倍になった所でインパクトは限られます。もっと大きく資金を投入する必要がありました。

当時の私は、ある程度の買い場が来ても「まだ下がるかも」と余力を温存し過ぎるため、十分な金額を投資し切れませんでした。実際、2023年1月に105ドルと安く買えていたため、そのイメージが残っており、2024年の前半に良い買い場がありましたが、当時の私は「テスラは売り込まれる時は100ドル付近まで下がる。140ドルまで下がったらより多く買おう!」と機を伺っており、買い場を逃しました。自分なりの基準値とルール決めをして、価格が下がるたびに段階的に資金を増やしながら投入していくのは、理にかなってはいますが、いざ実践してみると、空振りも多いのが現実です。

ここでちょっと一息、ウォーレン・バフェット先生の言葉を思い出しましょう。

“そこそこの会社を素晴らしい安値で買うのではなく、素晴らしい会社をそこそこの値段で買うのです。”

Forget what you know about buying fair businesses at wonderful prices; instead, buy wonderful businesses at fair prices.

―2015年2月 株主への手紙―

せいぜい10%安く仕込めても、長期で見ればそれは誤差の範囲です。買値はそこそこの値段で十分なので、株価を見る時間や精神的コストを削減し、銘柄選定を間違えぬよう、企業分析など本質的な活動に注力することが肝心だと先生は教えてくれます。私はこの先生の言葉を理解できていませんでした。

最後にもう一つ、アップルの例を見てみましょう。

2023年~2024年の2年間の私の加重平均後の買付価格は181ドルでした。一方で、毎月初のOpen価格で機械的に買付をした場合の平均値は186ドルとなりました。ほぼ同額でであり、安値で仕込もうと株価を追いかけていた時間は、一言でいうと無駄だったことになります。ちなみに現在のアップルは220ドル前後なので、約20%の含み益(為替を考慮せず)です。その観点でも努力は報われていませんね。

投資額としても、大きな買い場がなかったことから、この2年間でのアップルには8,000ドル(約120万円)に留まります。テスラ同様、これでは全体に与えるインパクトは限られます。

他3銘柄のマイクロソフト、アマゾン、エヌビディアについても大体同じ結果です。なお、エヌビディアは同期間(2023年~2024年)に買付していないのですが、仮に積立投資をしていたら、その他4銘柄と比較して、圧倒的に良いパフォーマンスでした。これは皆さんご想像がつくかと思います。

まとめ:タイミング投資の反省点

以上の経験を纏めます。
買い場を逃す:安値を狙うが、欲望や恐怖で判断がブレる。
資金を十分投入できない:安値を狙うあまり、余力を温存し過ぎる。
リソースの浪費:価格やチャートを過剰にウォッチして時間を消耗。
タイミング投資を実践した結果、総合的なパフォーマンスは、時間や労力を消費しない「毎月積立投資」に劣後した。

では、反省を活かして私はどうするのか?

タイミング投資でチャートと睨めっこするのは神経を使うので、買付は自動化し、その労力を企業分析や決算分析に充て、グリップ力を高める事に労力を使った方が健全です。今年は「タイミング投資はしない」をテーマに淡々と積立設定するスタイルで臨む所存です。

上図は実際に今月の頭に自動買付したサマリーです。上段では、MANTA5銘柄に平均8万円x5銘柄=計40万円程度を、毎月投入していく方針です。下段のS&P500インデックスファンドへの積立投資(毎月20万円)はずっと変わらず継続中のものです。

年初から足元にかけて、相場は若干軟調なので、少し含み損が出ているかもしれませんが、長期的にみれば誤差の範囲内であり、気にしていません。

株価を気にせず、長期保有のスタンスで市場と向き合えるようになり、投資家としての力量も少し上がった気がします。ただ、この3年間の試行錯誤は決して無駄ではなく、糧になっている部分もあります。次回の記事で、そのあたりを語ってみたいと思います。

長文にお付き合いくださり、ありがとうございました。

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