体育会系商社マンの米国株投資

経済的自立を達成し、会社に帰属せずとも自分らしい自由な人生を目指しています。

リアルたぱぞうさんに会いにいく。

先週末はたぱぞうさんの投資勉強会「米国株などを語る会in東京」に参加しました。株関連のセミナー・会合には人生初参戦でしたが、大変有意義で心地良い時間でした。その学びをシェアする記事となります。

たぱぞうさんといえば、米国株投資界隈の大御所。私は2018年頃からブログ「たぱぞうの米国株投資」を読み始め、今でもブログ・書籍・メルマガを日々参考にしています。私が米国株を好きになるきっかけをくださった方。以来、心の中で勝手に師と仰いできたリアルたぱぞうさんに、初めてお会いできる!と心躍る一日となりました。

昔読み込んだ本。この頃のぞうさんのロゴも好きでした。

実際にたぱぞうさんにお会いしてみて

・お茶目で常に周囲を笑わせてくれる。とてもおだやかな雰囲気。
・有名人なのに一人ひとりの投資/人生相談に真摯に向き合い、ふむふむと聞いて下さる。
・米国株の説明パートでは、笑いを交えつつ、核心を突いた圧倒的な説得力。米国株の強さ・魅力をここまで明快に語れる人はなかなかいないのでは。ブログ・書籍等を通じて既知の情報ではあったものの、改めて生の説明を聞いて、うなりました。

これだけ多くの人がたぱぞうさんを慕っている根底には、投資の実績もさることながら、その「お人柄・魅力」がありました。

印象に残った、たぱぞうさん語録

会の参加者は36名で男女半々。前半はグループに分かれて「今投資すべきアセットはなにか?」とのテーマで意見交換→グループ毎に発表。後半はたぱぞうさんによる米国株・その他投資に関するエッセンスが詰まった講義。今日の本題として、その学びを私のコメントを添えて共有します。
※以下、箇条書き(太字)がたぱぞうさん語録。→以降が私のコメント。

まずはマクロ感から。

・現在は第四次産業革命の真っ只中→ハイテク株が強い。ちまちましたものを買ってもしょうがない。第四次産業革命に沿ったものを。
・政府がマーケットを助ける時代になった。(政府の介入が無視できなくなった)
・「成長の罠(※)」は20年以上前の主張。時代が変わった感がある。

※投資家のバイブルの一つ「株式投資の未来」という本で、シーゲル教授が豊富なデータを基に唱えた考え方。技術革新を起こすIT・ハイテク等の人気銘柄は避け、景気に左右されにくい生活必需品など「地味で不人気な高配当銘柄」を長期保有することで、市場平均より高い投資リターンが得られるという主張。

→成長の罠について。私もシーゲル教授の本には大いに影響を受け、米国株投資の初期にはアルトリア(MO)やフィリップモリス(PM)等のタバコ株を保有し、高配当株からハイテク株へ移行するのに大変苦労したものです。しかしそれも20年以上前の主張。変わらず名著ではありますが、アップデートは必要でしょう。最近のシーゲル教授の生声を拝見した所、もはや「成長の罠」の主張はなく、2025年の展望を語る以下動画でも、「やんわりとハイテク株からバリュー株へ資金がシフトする可能性がある」といった論調。時代に沿ってアジャストされていました。

参考)シーゲル教授の2025年の展望:昨年12月のインタビュー
日本語訳:2024年の振り返りと2025年の展望:ジェレミー・シーゲル教授|だうじょん

私の要約:この2年間のハイテク株の好調はFantastic runだったが、2025年はCool offするかも。M7はややスローダウンか横ばいと見ており、そうなると他493銘柄が輝くチャンスあり。S&P全体ではPER22倍、均衡点はPER20倍と考える中で、他493銘柄はPER18-20倍とよりReasonableな水準であり妙味あり。

銘柄・市場を見る目線

話をたぱそうさん語録に戻します。投資の目線について。
・イノベーティブかどうか。スケールが効いているか(独占・寡占か)。
・2025年のS&P500は、EPS275ドル x PER20倍=5,500を下限に、5,500-6,500のレンジ相場を想定。※勿論、将来は誰にも予測できませんので悪しからず。
・PER20倍を切ったら、買い時の目安として良いかも。

→今までS&P500全体のEPS・PERを意識したことはなかったので、調べてみました。上図はS&P500全体のEPSの約20年の推移です。たぱぞうさんの275ドルというのは赤線のForward EPS(予想EPS)だと思います。ちなみに青線はActual EPS(実績EPS)。なお、予想EPSは通常はアナリストの予測値です。長らく赤線が青線をやや上回っていますが、これはアナリストや市場の成長期待感が、実績を上回っていることを意味します。

※チャートの出典:Our Charts - Yardeni Research続いて上図はS&P500全体のForward PER(予想PER)の推移です。1月末時点では約22倍。改めてチャートを眺めると、2022年央からは調整を繰り返しながらも右肩上がりで、PER22倍は過去20年間のスパンでは割高圏にあります。サイクル(振り子)の頂点に近づいているようにも見えます。(とはいえ、私は買い控えはせず、淡々と積立投資しますが)

他方、PERが20倍を下回る水準、直近では2022年~2024年の2年間でのS&P500への投資は全て報われているので、PER20倍という基準はやはり今後頭に入れておきたいです。個別株のPERを見る上でも、基準となりますね。PERのチャートをもう一つ。M7とそれ以外のPERの比較です。真ん中の青線が上段で見たものと同じ予想PERで、1/23時点では22倍。それに対してM7のみが赤線で29倍と割高。M7除く493銘柄が緑線で19倍とやや割安。

先程のシーゲル教授に言わせると「2013年以降、赤線(M7)と緑線(他493銘柄)の乖離がどんどん広がっておる。さすがに2025年は調整が入り、赤線が下がり、対になる緑線が上がるのが自然じゃ」というスタンスですね。

対して、たぱぞうさんのスタンスは「2013年以降、赤線は上がり過ぎと毎年言われながらも、結果的に緑線との差はむしろ拡大基調。現在は第四次産業革命の真っ只であり、覇権を握るのはハイテク企業。潮目が変わらない限りはその傾向は続くので、素直にハイテクを買えば良い」というロジックだと私は理解しています。

このあたり、違いがあって、やはり米国株は面白いなと思います。そして少なくとも過去10年の実績を比較すると、世界的な権威であるシーゲル教授の方がハイテク(たぱぞう派)に劣後する訳です。にもかかわらず、シーゲル教授は世界的な権威であり続けており、変わらずCNBCのご意見番です。この辺も奥が深いですね。

時代が変わった感

熱くなりすぎて長文となりましたので、あとはサラっといきます。
・投資がこんなに簡単になった時代はない。(と言いながら「今年下げたらゴメンなさい」というご愛敬を挟みつつ)
・初心者でも投資OKな良い時代になった。日月(短期)ではなく、年単位(長期)で見ると負けない。
・変化に気づき、最適化できた人が資産を増やしている。

→確かに。事実として、私のように個別株をいじくるよりも、素直にインデックス投資やビットコインを積立投資してきた人の方が、パフォーマンスが良いケースが多々あります。

語る会にも「投資をこれから始めたい!」という方がおられました。この高値圏で投資を始めるのは、最初はかなりの勇気が必要です。そんな中、たぱぞうさんの言葉にそっと背中を押してもらった方もいるかもしれません。

おまけ:不動産の投資基準

・CCR(※)10%以上が一つの目安。
・すなわち、「投下資金に対して利回り10%以上で回るか?」を一つの指標として、アセットを見比べている。
・その背景:S&P500の成長率は超長期(100年超)で年率6.8%、「過去60年で年率10%」。
※ちなみに直近13年では年率14%と更に良い。ハイテク=NASDAQ-100指数では18%。

※CCR(Cash-on-Cash Return):自己資金に対して年間でどれくらいのリターンがあるかを示す指標

→アセットには其々特性があるので、不動産は不動産、株は株、と各アセットの中で収益性・投資判断をするのが一般的です。しかし米国株のパフォーマンスが、どの期間で区切って見ても良過ぎるため、「過去60年平均の10%を上回るなら不動産もあり。下回るなら敢えて不動産に手を出す必要なく、米国株を買う方がシンプルで良い」という、たぱぞうさんらしい考え方。

※このブログではまだ記事をかけていませんが、私は長らく不動産(一棟アパート)を物色中です。但し、市況が厳しい等の理由で購入に至っておらず。このCCR 10%の考え方は今後の一つの目安にしたいです。

おわりに

たぱぞうさんの講義に耳を傾けながら、自分の頭の中を整理する大変良い機会となりました。ゆる~い雰囲気で遊び心に溢れながらも、投資に於いては核心を突いている、そんなたぱぞうさんにお会いでき、感無量な一日でした。語る会は東京、大阪、名古屋、福岡にて、其々毎年1回開催されているようです。

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