体育会系商社マンの米国株投資

経済的自立を達成し、会社に帰属せずとも自分らしい自由な人生を目指しています。

ワンルーム投資の出口戦略 ー購入2,860万円の物件を3,320万円で売却した実例

保有している投資用ワンルームマンション3戸のうち、1戸を売却しました。本記事では、売却した実例を、数字を出来る限り開示したうえで整理します。

「ワンルームって実際どうなの?」と興味をお持ちの方や、これからワンルームの出口を検討される方にとって、参考になれば幸いです。

1. 結論:このワンルーム投資は成功だったのか?

・ワンルーム投資という選択自体は、投資として必ずしも成功とは言えませんでしたが、本件の「売却」という観点では上出来だった。
・初期投資額90万円に対し、5年間保有した結果、税引前の手残りは640万円となった。
・一方で、2027年3月に約189万円の譲渡所得税が発生し、税後の通算損益は約+331万円となる見込み。
・同期間に、S&P500のETF(1655)に90万円を一括投資していた場合、現在の評価額は約236万円(分配金を除く)。取ったリスク・負債の大きさに対してリターンはさほど変わらず、退去対応や確定申告、売却といった手間を考慮すると、結果論ではシンプルにS&P500で十分だったと感じます。

2. 物件概要と投資条件の整理

前提:物件概要

・所在地:渋谷区本町(都営大江戸線 西新宿五丁目駅・徒歩4分)
・築年:2004年(築22年)
・壁芯面積:23.02㎡
・購入時期:2021年2月末(保有期間:約5年)
・購入価格:2,860万円
・初期費用:90万円(頭金10万円+諸費用80万円。いわゆるフルローン)

いくらで売れたか?

5年前の購入価格は2,860万円でした。今回はこの物件を3,320万円(+460万円)で売却しました。仲介業者さんには当初から3,300万円を希望価格として提示しました。途中、値下げすれば早期成約が見込めるといった打診もありましたが、価格は一切下げずに待った結果、最終的に希望通りの価格で売却できました。では、この売却によって実際に手元にいくら残ったのかを見ていきます。

キャッシュインはいくら?

私が借入している銀行に、今回仲介に入ってもらった不動産業者から一括で送金が入ります。その口座に残ったお金が「手残り」という事になります。ですが、最後に非常に重たい「税金」を納める必要があり、これは後ほど触れます。

まず結論からです。
決済日に手元に残る金額は640万円でした。

内訳は以下の通りです。
 ・売却価格 :3,320万円
 ・諸費用  : ▲127万円
 ・ローン残債:▲2,553万円

3,320万円 − 127万円 − 2,553万円 = 640万円

この640万円が、決済日(※)に実際に手元に入る金額です。

※売買契約の締結後、仲介業者さんが必要書類の手配を行い、通常は1〜2か月後に決済となります。

諸費用:▲127万円とは?

最も大きな費用は「仲介手数料」です。買い手の発掘・交渉や諸手続きに対する対価です。この手数料ですが、実は上限が決まっており、業者さんがどんなに頑張ってくれてもこの上限を超えて請求することはできません。

その計算式とは、「売買代金×3%+6万円+消費税10%」です。

400万円以下の場合は違う計算式なのですが、400万円を下回ることはあまりないので、この計算を覚えておけば十分です。今回の場合は、「3,320万円×3%+6万円+消費税10%」=約116万円が手数料です。

これに加えて、その他諸費用として
 ・登記費用:5万円
 ・ローン返済手数料※:5.5万円 
  ※残債を一括返済する時に銀行に払う手数料
の費用が掛かりました。

通常、売買契約書に貼る収入印紙代が費用として発生しますが、今回の業者さんはDocuサイン等を活用し契約は全てペーパーレスで完結だったため、発生せず。

仲介手数料以外の諸費用としては、売買価格の1%=約30万円を想定していましたが、結果として10.5万円で済みました。ここは安く抑えられた点として、素直に満足しています。

余談ですが、Docuサインのおかげで契約書にいちいちハンコを押す必要がないだけでなく、売買契約(通常1~2時間程度かかる)も、わざわざ先方のオフィスに出向くことなく自宅でZoom完結でした。効率重視の私のような人間にとって、こうしたITを活用した不動産業者さんの機能は積極的に活用したいものです。

ローン残債は?

売却時点の残債ですが、2,553万円でした。約5年前の購入時の物件価格は2,860万円。

35年のフルローンでしたが、手付金として10万円が必要だったため、実際の借入額は2,850万円です。

そこから毎月ローン返済を行い、残債が徐々に減っていくことで、売却時の利益が積み上がっていくイメージになります。

丸5年間で、
借入額2,850万円 ― 残債2,553万円 = 297万円
を返済しました。

297万円 ÷ 60か月(5年)= 約4.95万円/月

振り返ってみると、毎月5万円弱を「強制的に貯金」してきて、売却時にそれをまとめて取り出した、そんなイメージに近いと思います。

金利が上がると元本の返済ペースが落ちる

月々のローン返済額は約89,000円でした。
この金額自体は、少なくとも借入後5年間は固定ですが、内訳である「元本」と「利息」は毎月少しずつ変動します。

購入当初、元本返済額は約51,000円でした。
その後、元本比率は非常にゆっくりと、毎月70円程度のペースで増えていきます。

しかし、2024年7月に変化が起きました。
金利が 1.65% → 1.75% に引き上げられたのです。

その時点で元本返済額は約53,000円まで増えていましたが、
たった0.10%の利上げによって、元本返済額は約50,800円にまで減少しました。元本そのものが大きいため、金利の影響がダイレクトに効いてきます。

その後も金利は容赦なく上昇し、
2025年1月に 1.90%
2025年7月には 2.15% となりました。

足元の日銀の利上げ姿勢を踏まえると、2026年1月以降にもさらに引き上げられる可能性が高いと見てよいでしょう。

なお、金利2.15%の現在、月々のローン返済額約89,000円に対し、元本返済は約43,000円にまで低下しています。
つまり、ローン返済額の半分以上が利息の支払いに消えている状態です。

これは、ワンルーム投資のように利回りの低い投資においては、無視できない厳しい現実だと思います。

補足①:借入金利は何によって上がるのか?

多くのネット銀行や変動金利型ローンでは、日銀が公表している短期プライムレート(いわゆる「短プラ」)に連動する形で金利が設定されています。
参考:https://www.boj.or.jp/statistics/dl/loan/prime/prime.htm

短プラの「最頻値」を見ると、2009年1月以降、長らく 1.475% で全く動きがありませんでした。
それが
 ・2024年9月:1.625%
 ・2025年3月:1.875%
と、上昇に転じています。

基本的には、短プラは日銀の政策金利と連動して動くと理解してよいでしょう。
実際、2025年12月19日に日銀が政策金利を 0.50% → 0.75% に引き上げたことを受け、2026年1月以降、短プラもさらに 0.25ポイント程度上昇すると想定されます。

補足②:実際の銀行の金利を確認してみる

私はワンルーム購入時、業者さんが提携していたイオン銀行で借入をしました。

イオン銀行の金利は、以下ページの
「店頭表示利率 → 変動金利」 が基準となります。
https://www.aeonbank.co.jp/interest/loan/transition/

ここから、各個人ごとに異なる 「引下率」 が適用され、実際の借入金利が決まります。

私の場合、この引下率は 0.72% でした。
この引下率は、個人属性、対象物件の評価、提携している不動産業者との関係性などによって変動するようです。

したがって、現時点での借入金利は以下の通りです。
 ・店頭表示利率:2.870%
 ・引下率:▲0.72%
実際の借入金利:2.15%

改めてイオン銀行の変動金利の推移を見ると、短期プライムレート(短プラ)が上がる前に、それを織り込む形で先に金利が引き上げられていることが読み取れます。

また、2009年1月から2024年3月までの約15年間、店頭表示利率は 2.370% で変わっていませんでした。しかし現在は 2.370% → 2.870%0.50%上昇しています。

今後も日銀の利上げに連動して、借入金利は容赦なく上がっていくと想定しています。

3. 保有中の実態:利回り・キャッシュフロー・金利リスク

購入時の物件の利回りはどうだったか?

家賃収入:月額102,000円 → 年間1,224,000円 

グロス利回り:1,224,000円 ÷ 28,600,000円 = 4.28%

経費(管理費・修繕費・管理代行手数料):月額12,315円 → 年間147,780円 

年間手取り収入:1,224,000円 − 147,780円 = 1,076,220円 

ネット利回り:1,076,220円 ÷ 28,600,000円 = 3.76%

売却時の利回りは?

保有期間中に1回退去があり、そのタイミングで賃料を+11,000円(102,000円 → 113,000円) 引き上げました。

一方で、管理費・修繕費の上昇により、月間経費は+3,040円 増加しています。

これらを反映すると、
・年間家賃収入:1,356,000円
・グロス利回り:1,356,000円 ÷ 28,600,000円 = 4.74%
・年間手取り収入:1,171,740円
・ネット利回り:1,171,740円 ÷ 28,600,000円 = 4.10%
となります。

賃料を1万円程度引き上げられると、利回りはそれなりに改善することが分かります。

金利スプレッドは?

さて、ここからが肝心です。
「ネット利回り」から「借入金利」を引いた差を確認します。

この
「ネット利回り − 借入金利」= 金利スプレッド
こそが、不動産投資における安全余地そのものです。

重要な指標なので、定期的に確認すると良いでしょう。

・購入時: 3.76% − 1.65% = 2.11%
・売却時: 4.10% − 2.15% = 1.95%

なんと、賃料を1万円(+10%以上)引き上げたにもかかわらず、金利スプレッドは縮小しています。

これは、金利が0.5%上がるという事が、いかに不動産投資家の収益構造を圧迫するかを端的に示しています。

家賃を上げる努力以上に、金利上昇のインパクトは大きく、かつ容赦がありません。

後ほど詳しく触れますが、この金利スプレッドの縮小が売却判断に至る理由の一つとなりました。

この物件の月々のキャッシュフローはどうだったか?

売却時点における本物件のキャッシュフロー(CF)を整理しておきます。
結論から言うと、CFはかろうじて黒字。ただし、極めて薄い、という内容でした。

月間キャッシュフロー

 ・家賃収入:+113,000円
 ・経費(管理費・修繕費・管理代行手数料):▲15,355円
 ・ローン返済:▲89,371円

月間キャッシュフロー:+8,274円

年間キャッシュフロー

次に、年間で発生する固定費を加味します。

 ・月間CF:8,274円 × 12か月 = +99,288円
 ・固定資産税:▲57,300円
 ・税理士費用:▲25,000円(3戸で約▲75,000円)
 ・所得税※:0円
※賃料収入を、減価償却費・借入金利・その他費用と相殺し、前年は課税なし。ただし、事業所得が黒字となり納税が発生した年度もありました。

年間キャッシュフロー:+16,988円

改めて分かる、この投資の本質

こうして改めて数字を並べてみると、ローン(特にフルローン)を活用したワンルーム投資は、キャッシュフローを取りに行く投資ではない、ということがよく分かります。

今回、
賃料を+11,000円引き上げたことで
ようやくCFがギリギリ黒字を維持できている
という状態でした。

逆に言えば、賃料アップがなければ、売却時点で年間CFは赤字だったことが明白です。

さらに、保有期間5年間を通じて発生した各種費用を考慮すると、累計のキャッシュフローは更にマイナスになります。

さらにさらに、借入後5年間はローン返済額は固定ですが、5年経過後、返済額が見直され、金利上昇局面では返済額が増えます。

この物件の場合は、2026年1月末から、これまでの89,371円から96,111円へと、約7,000円も上がる予定でした。容赦ないです。

その他、考慮すべき費用

ここまでの月次・年次CFとは別に、保有期間中に発生したスポット的な費用も整理しておきます。

損害保険料:5年間で ▲5,000円
修繕費:保有期間中に1度退去があり、修繕費として ▲95,700円
空室期間:退去から次の入居まで約1か月の空室が発生
 → 1か月分のCFマイナス:約 ▲10万円
フリーレント:入居者募集のため1か月のフリーレントを付与
 → 機会損失として約 ▲10万円

一方で、更新時には賃料1か月分が更新料として入ってくるなど、プラス要因もあります。

ただし、これらをすべて合算して保有5年間を通算すると、
累計キャッシュフローはおおよそ ▲30万円のマイナス(赤字)
だったと整理できます。

ワンルーム投資はCFを取りに行く投資ではない?

ここで、不動産投資を始めようと思い立った当時の目的を振り返ってみます。
当初私が期待していたのは、安定したインカムゲインでした。
「給与とは別に、毎月10~20万円の家賃収入があったらいいな」
そんなイメージを持って、この投資をスタートしています。

しかし現実はどうだったかというと、インカムゲインどころか、少し費用がかさむだけで簡単に赤字に転落します。当初描いていた目的と、実際の収支構造はまったく噛み合っていませんでした。

この事実に気づいてから、
「この投資はインカム狙いではない。キャピタルゲイン狙いの投資なんだ」
と頭を切り替えるまでには、正直少し時間がかかりました。

なお、ワンルーム投資でインカムゲインが期待できない理由はシンプルです。
利回りが低いからです。
相当な低金利(1%以下)で借り入れができるケースや、そもそもローンを使わず現金で購入する場合などを除けば、インカムゲインを安定的に得るのはかなり難しいと思います。

むしろ私の中では、ワンルーム投資とは、
時間をかけてローンを返済し含み益を積み上げ、その間に賃料を引き上げるなどして売却価格を高め、相場が好調なタイミングで売却することでキャピタルゲインを得る投資
だった、と整理されました。

4. 出口戦略の実行:売却プロセスと価格決定のロジック

売却を検討し始めた初動ー最初の査定結果は2,650万円

売却を検討し始めた際、まずはこの物件を購入した業者さんに査定を依頼しました。
現在も管理をお願いしており、物件の状況や賃貸履歴をよく把握している、いわば「一番身近な業者」です。

その査定結果は以下の通りでした。
 ・仲介価格:2,700万円~2,800万円
 ・買取価格:2,650万円
購入価格は2,860万円ですから、買値を明確に下回る水準です。
この条件では利益は一切出ず、むしろ「損切り」に近い売却になります。

正直な感想としては、
「おいおい、いきなり損切りを迫られるのか……」
というものでした。

ただし、ここで重要なのは、この時点で慌てて売り急がないことです。初期の査定額は、業者側の安全マージンなどが織り込まれています。

このような数字を突き付けられたからといって、
「もうこの価格でしか売れない」と思い込む必要はありません。

むしろこの段階では、
「市場の初期反応を確認した」
「現実的に戦略を考え始める材料が揃った」
と捉え、冷静に次の一手を考えるべきフェーズだと思います。

ここから、
 ・どの買い手層を狙うのか
 ・目標価格をどこに置くのか
といった戦略を、改めて整理していくことになります。

3,300万円という売却目線はどこから来たのか?

では次に、「なぜ3,300万円を売却の目線に置いたのか」を整理します。
結論から言うと、買い手側の立場に立って利回りから逆算しました。

売り手である私としては、当然できるだけ高く売りたい。一方で、多少価格が高くても成立しやすい買い手層は限られます。

具体的には、
・開業医
・相続対策を目的とする資産家、利益圧縮を図りたい法人オーナー
・購入当時の私のように、「今すぐ不動産を買わねば/買いたい」と焦っている人
といった層です。

これから資産形成を目指す一般的なサラリーマンにとっては、この価格帯・利回りでの購入は成立しづらく、win-winになる相手ではないと考えていました。

ただし、株式投資と違い、不動産はたとえその物件が相場の評価額から多少外れていても、また業者さんから「その価格では売れません」と言われようとも、「手を上げてくれる購入希望者が一人でも現れれば成り立つ」という側面もあります。

このあたりが不動産の面白いところで、決して売り急ぐ必要はなく、自分なりの狙いを定めたら、その一人が現れるまで、じっと我慢する忍耐力も必要です。

買い手が見るのは「利回り」

仮に上記のような買い手がこの物件を「悪くない」と評価した場合、
次に考えるのは
「この物件、利回り何%なら買うか?」
という点です。

そこで、利回りから逆算します。

グロス利回りから逆算する

購入時よりやや低めの 4.10% を想定すると、
1,356,000円 ÷ 4.10% = 約3,300万円

ネット利回りからの逆算する

同様に、ネット利回りを 3.55% と仮定すると、
1,171,740円 ÷ 3.55% = 約3,300万円

このように想定利回りから逆算して、目標価格の当たりを付けました。

エクセルで計算式を入れて、%の部分をいくつか変動させると、妥当な金額のイメージが付きやすいと思います。

なぜこの水準が限界なのか

現在は金利上昇局面です。物件の資産性がそこまで高くないことも考えると、この環境下で、これ以上利回りを下げて(=価格を上げて)売るのは現実的ではありません。

つまり、この利回り水準で確実に売り切ることが、当時の自分にできるベスト
そう判断して、3,300万円を希望価格として業者さんとの会話を始めました。

このように、実現するかはどうかはやってみないと分かりませんが、自分なりの目線をもって動き出すことが大事かと思います。

業者さん選びはどうしたか?――最初の業者さん

売却の目線が定まったところで、次は仲介をお願いする業者さん選びです。

最初は、投資家仲間の繋がりで、2025年5月頃に個人で活動されている不動産業者さんをご紹介いただきました。
この方から最初に提案されたのが、
「3戸まとめて売りましょう」
という案でした。

私は当初、1戸ずつ個別に売却するイメージを持っていましたが、
まとめて買ってもらえるなら、私にとっても業者さんにとっても手間が省けます。
その意味では、合理的な提案だと感じました。

ただし前提条件があります。
それは、値引きを前提としないことです。

まとめ売りで値引きするなら話は別ですが、
私は当初から価格を下げるつもりはありませんでした。

ただ、それを明確に業者さんに伝えきれていなかった点は反省です。この点で、両者のスタンスにはズレがありました。

融資がネックになった現実

実際にその業者さんの人脈の中で買い手探しを進めていただいた結果、この物件について提示された価格は 2,900万円 でした。

私の希望価格は3,300万円。買い手の方の銀行融資が伸びず、約400万円の乖離がありました。

さらに、他の2戸についても同様に価格差があり、結果としてこのまとめ売りの話は見送ることにしました。

その後は方針を切り替え、1戸ずつバラで売却する形でレインズにも登録してもらいましたが、最終的に成約には至らず、この仲介業者さん経由での売却は一旦クローズすることになります。

ここまでで、約半年が経過しました。

振り返って分かったこと

今振り返ると、この業者さんの主戦場はアパートであり、ワンルーム投資は必ずしも得意領域ではなかったのだと思います。

そのため、
 ・私が想定していた買い手層
 ・利回りよりも「資産性」や「節税」を重視する顧客
へのリーチが限定的だったのだと感じています。

結果的に、色々と動いてはいただいたものの、私が望む結果には繋がらず、申し訳ない形での終了となってしまいました。

2つ目の業者さん――ワンルーム特化の大手業者

次にコンタクトしたのは、マンション投資(特にワンルーム)に特化した大手業者でした。
「AI不動産投資」を謳い、SNSなどで著名人を起用した派手な広告を展開している、かなり“いけいけ”な雰囲気の会社です。

正直、マーケティング費用をこれだけかけている以上、買う側に回れば割高になりやすい業者だと思います。ただし今回は「売る側」です。
ならば、高く売る力を持っている業者を使わない手はないと考えました。

見分けるポイントは「初回面談のノリ」

この手の業者さんを見分ける一つの分かりやすいサインがあります。

それは「今ならPayPayやAmazonポイント5万円プレゼント!」といったキャンペーンを前面に出しているかどうかです(笑)。

広告費をここまでかけられるということは、
裏を返せば物件を高値で売ることで十分に利益を確保できているということでもあります。

つまり、「自分の物件も高く売ってもらえる可能性がある」と考えました。

ただし、最初から決めていた“ルール”

一方で、このタイプの業者さんについては、
 ・最初は高値で買付を入れてくる
 ・途中から値下げ交渉を仕掛けてくる
 ・最終的には安く買い叩こうとする
という話もよく聞いていました。

そのため、
「価格は下げない」ことを最初から明確にする
これは絶対条件だと決めていました。

実際の進め方と結果

まずは、今回売却した1戸を物件登録。
すると、想定通り、複数の営業マンから連絡が入ります。

その中から、
・こちらのスタンスを理解してくれそうな人
・価格を下げる前提で話をしない人
この2名に絞り、
希望価格を明確に伝えた上で実際に動いてもらいました。

すると、
約2か月ほどで買い手が見つかった
との連絡が入り、そこからは本当にトントン拍子で話が進み、契約に至りました。

途中、「買い主さんとの交渉で、多少値引きが必要となるかも」という雰囲気を出されましたが、そこは最初から譲歩しないスタンスを取っていたので、営業マンが色々と調整を頑張ってくれ、最終的には仲介業者さんのマージンを削る形で、希望価格通りに(実際には+20万円多く)売買契約することができました。

5. なぜ今、売却を決断したのか

理由は大きく3つあります。

① ワンルームとして保有し続けるより、現金化して株式投資に回した方が資産効率が高いと判断したため

上述の通り、希望価格で売却できる前提であれば、この物件を今売ることで640万円の現金を手にすることができます。

一方、この物件を保有し続けた場合に得られる収益を考えてみます。
売却時点での元本返済額は約43,000円/月でしたので、
43,000円 × 12か月 = 約516,000円/年
とします。

ここでは話を単純化するため、キャッシュフローは±ゼロと仮定します。

すると、この物件の年間期待リターンは、
516,000円 ÷ 6,400,000円 = 約8.06%
となります。

ただしこれは、経年劣化や退去時の修繕費といった将来コストを考慮していないため、あくまで期待リターンの上限値と考えるべき数字です。

言い換えると、
この物件を継続保有するという判断は、「640万円を投じて、最大でも年率8.06%程度が期待される投資商品を持ち続けること」と同義になります。

ただし、この投資は不動産でありながらインカムゲインはなく、むしろキャッシュフローがマイナスに転じるリスクを多分に含んでいます。

一方で、S&P500の長期的な期待リターンは約10%とされています。
私は株式投資において、これを上回るリターンを目指しているため、ワンルームとして保有し続けるよりも、現金化して株式投資に振り替えた方が資産効率は高いと判断しました。

② 金利上昇局面に入ったこと

この物件の現時点での期待リターンは約8.06%ですが、日銀の利上げにより元本返済ペースは今後さらに鈍化していきます。
その結果、期待リターンは8%を下回り、今後も悪化していく可能性が高いと考えています。

また、金利上昇はワンルーム投資市場全体を冷やし、
買い手が減ることで希望価格で売れなくなるリスクも高まります。

今回の物件については、退去時に賃料を+11,000円
(102,000円 → 113,000円)引き上げるなど、
やるべき施策はすでに一通り実行しました。

金利スプレッドが縮小していく現実を確認したことも踏まえ、
 ・これ以上粘るフェーズではなく、利益を確定させるフェーズだ
 ・一気に3戸売らずとも、少なくとも1戸は手放して負債額を減らすフェーズだ
と判断しました。

③ 現金が必要だったため

最後に、私個人の事情です。

当時、株式投資はほぼフルインベスト状態で、手元の現金比率が非常に低いことが課題でした。

後述する税金負担を考慮した上でもなお、2026年を迎えるにあたり、一定の現金を確保しておく意義は大きいと考え、このタイミングでの売却を決断しました。

6. 税金と最終リターン(この投資の本当の成績)

税金はいくら払うのか?

さて、不動産売却において避けては通れないのが譲渡所得税です。
売却益が出た場合、ここを見落とすと「思ったより手残りが少ない…」となりがちなので要注意です。

計算式は以下の通り。
最終的には税理士さんに確認するのが前提ですが、自分でも十分に把握することができます。

売却価格①
- 取得費(購入価格② - 減価償却費③)
- 売却時費用④
= 課税所得(譲渡所得)

そして、

譲渡所得 × 税率 = 税額

税率は保有期間によって大きく変わります。

保有期間 区分 所得税 住民税 復興税 合計
5年以下 短期譲渡所得 30.00% 9.00% 0.63% 39.63%
5年超 長期譲渡所得 15.00% 5.00% 0.315% 20.315%

この物件の場合
・① 売却価格:3,320万円
・② 購入価格:2,860万円
・③ 減価償却費:144万円(約5年分)
・④ 売却時費用:127万円

計算すると、
3,320万円
-(2,860万円 - 144万円)
- 127万円
477万円(課税所得)

これに短期譲渡所得の税率を掛けると、
477万円 × 39.63% = 約189万円

納税タイミング

なんと……
この物件の売却によって、189万円もの税金を支払うことになります。

私の場合、決済(譲渡)が2026年1月末のため、
納税は翌年(2027年)2~3月の確定申告時となります。

売却代金が入って一息ついた頃に、「忘れた頃にやってくる大きな出費」という点も、実体験として強く意識させられました。

なお、少しでも納税のタイミングを遅らせるために、決済日は2026年側にしたいという意思は、あらかじめ業者さんには伝えていました。これだけで、189万円のキャッシュアウトを1年間先送りできます。

あともう1か月、早く買っていれば……

私がこの物件を購入したのは2021年2月末、売却(譲渡)は2026年1月末。保有期間は丸5年弱となりますが、適用される税率は短期譲渡所得の39.63%です。

ここで改めて整理しておきたいのが、
「長期譲渡所得(20.315%)」が適用される明確な基準です。

それは、

「物件を購入してから、1月1日を6回迎えること」

というルールです。

この物件の場合、2027年1月1日を跨いだ時点で長期譲渡となるため、
実質的には約5年10か月の保有が必要だった、ということになります。

ここで重要なポイント

物件を売却した際に、
「いつ購入したか」を判断する基準については、

  • 原則:決済日(=引渡し日)
  • 例外:売買契約日

どちらでカウントしても良い、という扱いになっています。

この物件の売買契約日は2021年1月中旬でした。

もし仮に――
あと1か月早く、すなわち2020年12月末までに売買契約が完了していれば、決済日が翌月以降になっても、
 ・すでに「1月1日を6回迎えた」扱いとなり
 ・長期譲渡所得が適用
 ・税額は189万円 → 約90万円程度
で済んでいた、という計算になります。

たった1か月で、ここまで違う

これは本当に痛感しました。
たった1か月の違いで、税金が約90万円変わるのです。

この経験から言える教訓は、とてもシンプルです。

業者さんから不動産物件を紹介され、
自分なりに納得できる手間と時間をかけた上で、
その物件を「買う」と判断したタイミングが、
「たまたま」年末付近であれば、
営業マンの尻を叩いてでも、売買契約は年内に交わすべき

この投資によるリターンを整理

まとめに入ります。
今回の売却による手残りは640万円ですが、税引後では451万円となります。初期投資90万円が、約5年間で実質5倍になって戻ってきた計算です。90万円に対して361万円の純利益が出ました。

一方で、保有期間中の累計キャッシュフローは▲30万円の赤字でしたので、これを差し引いた通算損益は+331万円となります。
これを年率換算すると、約36%のリターンでした。

7. 反省と学び:ワンルーム投資はやるべきだったのか

ワンルーム投資はやってよかったのか?

ここまで振り返ると、この物件単体では、まずまずの成績で売り抜けることができました。
一方で、私は似たようなワンルーム物件を他に2戸保有しています。立地はいずれも港区三田、渋谷区松濤と悪くはないものの、賃料はまだ十分に上げ切れておらず、築年数も古く、さらに売却は税率が下がる2027年1月以降を想定しています。そのタイミングでワンルーム投資の市況が悪化していれば、希望価格では売れない可能性も十分にあります。

そのため、3戸トータルで見たときに「ワンルーム投資はやってよかったか?」と聞かれたら、正直な感想は「やる必要はなかった」です。

ワンルーム3戸をほぼ同時期に購入し、7,000万円以上の負債を抱えるというリスクに対して、得られたリターンが小さく感じられるからです。ワンルーム投資は、一言で言えば「ミドルリスク・ローリターン」の投資だと感じています。

また、この期間中、同じ不動産投資でもタワーマンションや一棟アパート投資を手がけてきた投資家さんと比べると、私のワンルーム投資のパフォーマンスは明らかに劣後しています。

さらに仮に、2021年2月末に90万円をS&P500のETFである1655に投資していた場合、現在は約236万円になっています(分配金を除く)。

S&P500であれば、退去対応や確定申告、売却といった手間はほぼ不要で、半永久的に保有しても心理的な負担は小さい。その意味でも、私にとってはそれで十分だったと感じます。

売却としては成功だったのか?

ただし、ワンルーム投資に手を出してしまった反省を脇に置いて、「売却」という観点では、まずまずうまく進めることができ、確かな経験値を積むことができました。継続保有する意義は薄いと判断し、売却を決めてからは出口に向かって作戦を練り、実際に行動に移し、「売却が確定した瞬間」はなかなか心地よいものでした。

将来、ワンルーム以外の不動産投資に取り組む機会は狙っていきたいですし、この経験を活かし、より大きな金額でこの売却プロセスを再現したいと思います。

ワンルーム投資をやって得られたもの

最後に、この投資を通じて得られたものを整理しておきます。

・確定申告や譲渡所得税を含む、実務レベルでの税金の知識
・不動産や金利に対するアンテナ・感度の向上
 (外から眺めるだけでなく、実際にバッターボックスに立ったことで、数字の重みを体感できた)
・「買い」と「売り」双方の実務を経験したことによる、投資家としての経験値の蓄積

リスクとリターンの見合いとしては、必ずしも効率の良い投資だったとは言えません。それでも、自分のお金で不動産投資に踏み出し、悩み、決断し、出口まで辿り着いた経験は、今後の投資活動において糧になったと感じています。

残り2戸については、ここまでうまくいくかは分かりませんが、市況を見極めながら同様に出口を意識した対応を行い、次の不動産投資へと繋げていきたいと思います。

最後まで読んで下さり、ありがとうございました。本記事が、これからワンルームの出口を検討される方にとって、何かしらの参考になれば幸いです。